Aromatherapy|アロマテラピー

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19 P O S T

産後のからだ

出産後の入院期間中に看護師さんに施されたのが、わたしのはじめてのアロマテラピーでした。母乳育児につまずいてしまったりと、育児の不安に包まれていたのだとは思いますが、泣きたい感情ではないのに、涙が止まらないのです。看護師さんに「マタニティーブルーだね。」といわれてびっくりです。産後の心身の変化は予想以上でした。え、わたしが?

マタニティーブルー?

赤ちゃんが無事に生まれてうれしいものの、それ以上に育児へのプレッシャーや不安を強く感じてしまい、精神的なストレスや疲労がたまりがちです。出産後はホルモンバランスも急激に変化します。マタニティブルーは妊娠中や出産後の女性に起きる、漠然と悲しい気持ちになったり涙が出たり、不安で眠れなくなったりといった情緒不安の総称です。

香りはダイレクトに脳へ

夜、看護師さんがきてくださって2種類の香りから「好きな香りはどっち?」とたずねられ、わたしが選んだ香りを枕元においてくれました。涙がピタッと止まるものではありませんが、看護師さんの心づかいと香りに癒されたことを覚えています。わたしにとってのラベンダーはそんな優しい思いも蘇る特別な香りです。いつになっても香りから当時の体験を想起します。

アロマクラフト

精油の一覧

精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花びら、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出された芳香成分で、100%天然の素材です。有効成分を高濃度に含んだ精油は、それぞれが独特の香りをもっていて、空気に触れると蒸発します。水より比重が軽くて浮くことや、油になじみやすいことなどから「油」「オイル」という言葉がついていますが、油脂とはまったく別の物質です。

ラベンダーやローズの花と精油

精油成分は、鼻から脳へ、皮膚から血管やリンパ管へと伝わり、全身にはたらきかけます。嗅上皮に香りが付着すると、刺激が最初に大脳辺縁系に伝わります。五感の中でも大脳辺縁系に直接伝わるのは嗅覚だけ。さらに刺激は、自律神経や内分泌系、免疫系を調整する視床下部へと伝えられます。また、精油成分は呼吸を通して、呼吸器の粘膜、肺の一番奥にある肺胞から血管にも吸収されます。そして肌についた精油成分は、皮膚表面から抹消血管に入ります。血液に入った精油成分はわずかな量でも体内を循環し、体に効果をもたらします。

1種類の植物の香りだけでも多くの作用が期待できますが、さらにいろいろな個性をもつ精油をブレンドすることで相乗効果を得ることができます。自分の目的や好みにぴったりな香りを探しましょう。香りの揮発速度を「ノート」といい、「トップ、ミドル、ベース」の3つに分類されます。それぞれのノートをバランスよくブレンドすることによって、長時間安定した香りを楽しむことができます。また精油の香りは、大きく「ハーブ系、柑橘系、フローラル系、オリエンタル系、樹脂系、スパイス系、樹木系」の7つのタイプに分けられます。同じタイプの精油は、ブレンドする時にも相性がよく調和のとれた香りを作れます。

オレンジ果実のイラスト

オレンジ・スイート


食用のスイートオレンジから抽出され、みずみずしい果実そのままの香りが楽しめます。リフレッシュ効果があり、明るく前向きな気分にしてくれます。一方でリラックス効果も高く、安眠の助けにも最適。作用が穏やかで子どもにも安心して使用できるほか、ビターオレンジと違って光感作が少ないのも特徴。

【学名】 Citrus sinensis
【科名】ミカン科 【使用部位】果皮
【抽出方法】低温圧搾法
【香りのノート】トップ
【主成分】リモネン、リナロール、シトラール

グレープフルーツ果実のイラスト

グレープフルーツ


みずみずしい爽快なシトラス調の香り。万人に好かれるので、人が集まる場所に使う香りとしてもおすすめです。近年の研究で、グレープフルーツの香り成分がダイエットサポートに役立つことが判明しています。また、血液やリンパの流れを促し、余分な水分を排出し、むくみやセルライトの解消に有効です。光感作があるので、肌に使用した後は日光を避けるようにします。

【学名】 Citrus paradisi
【科名】ミカン科 【使用部位】果皮
【抽出方法】低温圧搾法
【香りのノート】トップ
【主成分】リモネン、ヌートカトン、シトラール

ゼラニウムの花のイラスト

ゼラニウム


甘くやさしい中にミント調の爽やかな香り。ややローズの香りに似ているのが特徴です。これはローズと共通の成分を含んでいるためで、ローズと同様、ホルモン分泌や自律神経のはたらきを調整し、心と体のバランスを整えてくれたり、皮脂バランスの調整、収れん作用などスキンケアにも効果的。体内の余分な水分や老廃物を排出してむくみや肥満の予防にも。

【学名】 Pelargonium graveolens
【科名】フウロソウ科 【使用部位】花・葉
【抽出方法】水蒸気蒸留法
【香りのノート】ミドル
【主成分】シトロネロール、ゲラニオール

ティートゥリーの葉のイラスト

ティートゥリー


清涼感のあるシャープな香り。抗菌・抗真菌、抗ウィルス、抗炎症、消臭など多くの作用がありますが、皮膚や粘膜に対しては刺激が少なく、古くから万能薬として利用されていました。風邪や花粉症の予防・症状にも有効で、特に冬場や春先の香りにおすすめ。部屋の空気を浄化し、いやなにおいを取り除く効果も。

【学名】 Melaleuca alternifolia
【科名】フトモモ科 【使用部位】葉
【抽出方法】水蒸気蒸留法
【香りのノート】トップ
【主成分】テルピネン-4-オール、1,8-シネオール、y-テルピネン

フランキンセンスのイラスト

フランキンセンス


オリバナム・乳香ともいわれます。香料の中で最も古い歴史を持つ香り。心の滞りをなめらかにし、深くゆっくりとした呼吸を取り戻します。集中させるので瞑想やヨガにも向いています。呼吸を深めるので、免疫力の向上、喘息・気管支炎など呼吸器系の不調に役立ちます。肌のアンチエイジング効果にも優れます。

【学名】 Boswellia carterii
【科名】カンラン科 【使用部位】樹脂
【抽出方法】水蒸気蒸留法
【香りのノート】ベース
【主成分】α-ピネン、リモネン、p-シメン、ボルネオール

ペパーミントのイラスト

ペパーミント


お菓子や薬品などに広く利用されています。主成分はℓ-メントールで、神経を刺激する作用と鎮静する作用を合わせもちます。眠気を覚ましたい時やリフレッシュして集中力を高めたい時にぴったり。消化不良、吐き気、過敏性症候群による胃痛など消化器系の不調、咳や喉の痛み、鼻づまりや花粉症など呼吸器系の症状にも効果的。

【学名】 Mentha piperita
【科名】シソ科 【使用部位】地上部
【抽出方法】水蒸気蒸留法
【香りのノート】トップ
【主成分】ℓ-メントール、ℓ-メントン、1,8-シネオール、イソメントン

ヘリクリサムのイラスト

ヘリクリサム


甘い香りですが、独特なので好き嫌いはあるかもしれません。細胞再生作用、消炎、血流改善、免疫力アップ、抗菌作用など数多くの作用があります。特に、肌に対する再生力が高く、傷の治癒に優れています。老化肌にも効果的で、炎症やニキビにもいいといわれ、スキンケアには最適です。

【学名】 Helichrysum italicum
【科名】キク科 【使用部位】花
【抽出方法】水蒸気蒸留法
【香りのノート】ミドル
【主成分】酢酸ネリル、y-クルクメン、リモネン

ベルガモット果実のイラスト

ベルガモット


アールグレイの香りづけに用いられる柑橘。オレンジよりやや苦味のある香り。リラックスとリフレッシュのどちらの目的にも使え、心を明るくしてくれる香りは、不安や落ち込み、安眠の助けにも。消化不良、食欲不振など、特に神経系の症状に有効。光感作が強く、肌に使用した後は12時間ほど日光を避けるようにします。

【学名】 Citrus bergamia
【科名】ミカン科 【使用部位】果皮
【抽出方法】低温圧搾法
【香りのノート】トップ
【主成分】酢酸リナリル、リモネン、リナロール、ベルガプテン、ベルガモテン

ユーカリの木のイラスト

ユーカリ・ラディアタ


主成分は1,8-シネオールで、フレッシュで清涼感のある香り。ユーカリ精油で共通する作用は、抗菌、抗ウイルス、抗炎症作用に優れ、気管支炎や花粉症のカタル症状、喉の不調などに最適。風邪や花粉症の時期に香らせれば、空気を浄化して症状の緩和や予防に役立ちます。皮膚刺激が少なく香りも穏やかなラディアタは、スキンケアにも用いられます。

【学名】 Eucalyptus(radiata)
【科名】フトモモ科 【使用部位】葉・枝
【抽出方法】水蒸気蒸留法
【香りのノート】トップ
【主成分】1,8-シネオール、a-ピネン、リモネン、a-テルピネオール

ライム果実のイラスト

ライム


カクテルの仕上げには欠かせない果実。レモンよりもシャープな印象で、爽やかな甘さの中にわずかに苦味のある香り。気分転換やリフレッシュしたい時に。心を元気にし、集中力を高めます。食欲を刺激して食欲不振の解消や、風邪に伴う呼吸器系の症状を緩和する効果も期待できます。

【学名】 Citrus aurantifolia
【科名】ミカン科 【使用部位】果皮
【抽出方法】低温圧搾法
【香りのノート】トップ
【主成分】リモネン、シトラール

ラベンダーのイラスト

ラベンダー

 
爽やかであたたかみのあるフローラルの香り。交感神経を落ち着かせる、リラックスの代表選手。鎮静、鎮痛、抗うつなど幅広い効能で万能といわれます。作用が穏やかで子どもにも安心して使用できるのも大きな魅力。頭痛、筋肉痛、月経痛などの鎮痛、やけどや傷の手当て、スキンケアにも有効。

【学名】 Lavandula angustifolia(Lavandula officinalis)
【科名】シソ科 【使用部位】花・葉
【抽出方法】水蒸気蒸留法
【香りのノート】トップ〜ミドル
【主成分】酢酸リナリル、リナロール、ラバンジュロール

ローズマリーのイラスト

ローズマリー


すっきりとした刺激的なハーブ調の香り。強力な抗酸化力をもち、さらに血液循環を促す効果にも優れます。中枢神経を刺激して集中力や記憶力を高める作用があり、勉強部屋や仕事場の香りにおすすめ。眠気覚ましにも効果的。肌を引き締め、脂性肌などのスキンケアや体臭予防にも効果を発揮。

【学名】 Rosmarinus officinalis
【科名】シソ科 【使用部位】花・葉
【抽出方法】水蒸気蒸留法
【香りのノート】トップ〜ミドル
【主成分】1,8-シネオール、カンファー、ボルネオール、酢酸ボルニル、β-カリオフィレン

キャリアオイル

植物から採れた油脂のことです。種子や実などから採れたオイルは肌に優しく、浸透しやすいので、そのままマッサージやお肌の手入れに使用したり、1番の役割は、精油を希釈してお肌にとって使いやすくすることです。アロマテラピーにおいて、植物油はベースオイル、キャリアオイルなどと呼ばれています。精油を皮膚から体内へ運ぶ(Carry)ことから、キャリアオイルという名前がついたといわれています。

キャリアオイルの入った器

グレープシードオイル


ワインを製造するときに残るブドウの種を原料とするオイル。肌に潤いを与えるリノール酸、肌の老化を防ぐビタミンEを豊富に含み、オイル自体が日持ちするのも特徴。肌への刺激やアレルギー性が少なく、敏感肌や脂性肌の人に最適。さらっとした使用感なので、どちらかというと夏のお肌にいい感じです。

スイートアーモンドオイル


肌をやわらかくするたんぱく質を多く含むほか、ミネラル、ビタミン、オレイン酸を豊富に含み、肌に栄養と水分を補給してくれます。使用感はやや重め。サロンなどでも人気の高いオイルです。肌のかゆみを抑えたり、肌の疲労を回復したりする効果も。全身に使うことができるうえ、ベビーマッサージにも向いています。

ホホバオイル


オイルとはいっても厳密には油脂ではなく、液状の植物ロウ。このため、酸化しにくく長期保存が可能です。すぐれた保湿作用と、皮脂分泌のバランスをとる作用があり、すべての肌質に使えます。人の皮脂と同じ成分を含んでいるため、浸透性があります。ヘアケア、スキンケアなどさまざまな目的に使用できます。

マカデミアナッツオイル


肌に潤いを与えるオレイン酸、人の皮脂にも含まれるパルミトレイン酸を多く含みます。このため、皮膚への刺激が少なく、肌になじみやすいのが特徴です。肌の老化を防ぎ、血液やリンパ液の流れを活発にします。酸化しにくく、比較的長く保存できるのも魅力です。