香りによってつらさが強まる、この感覚はなんだろうと思っていました。不意に漂ってきた香りにとらわれ、その香りとともにあった情景や思い出が鮮明に浮かびます。主に、切ない記憶。その時一緒にあった音楽や、写真も映像も、記憶を呼び戻して物悲しい気持ちになったりしますが、わたしの課題は香り。奥の奥の記憶も呼び起こし、心の深いところに届いて、つらさが膨らんでいくのです。
何気なく手にした本に、その答えはありました。五感のなかで嗅覚だけが唯一脳にダイレクトに伝わる、というものです。嗅覚が届く大脳辺縁系は感情や記憶に深く関わる部位なので、香りの刺激によって、ある種の感情と一緒に記憶が呼び覚まされます。みなさんも、香りで何かを思い出してなつかしい気持ちになることはありませんか?
香りと記憶の関係を「プルースト効果」というのだそうです。『香りはなぜ脳に効くのか』でも触れられていました。また、この頃に読んだ『悩まない脳の作り方』で、「私の悩みが落ち着いてきたのは、心理学に見切りをつけてリアルな脳へ向かい始めてからです。人の悩みは心から生まれるのではなく、その人の脳から生まれると言えます」と著者が述べています。
この言葉がほしかったと思いました。香りが脳に影響を与えること、脳から悩みが生まれること、そのことが、なんだかとても腑に落ちたのでした。知識をもって扱えば、香りで脳や体をコントロールできるということです。この香りのメカニズムを実感したことが、わたしがハーブやアロマに興味をもつきっかけでした。
わたしは、Webデザイナーとしての勤務経験が長かったのですが、出産を機に退職し、育児に専念していました。いつになっても子育てははじめてのことばかりで、いろいろなことが起こります。不安なこと、つらいこと。それがあって、あまり関心のなかった体のことやアロマやハーブの勉強をはじめて、ハーブショップでお仕事をさせていただくことができました。必需品ではないけど、あると少し心や体を豊かにしてくれるのが植物のちからだと思います。わたしにもできることを少しでも暮らしに取り入れてみようと思っています。
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